【PJCS2023 64位】毒神【レギュレーションC】

PJCS2023で使用し、2勝2敗で64位、WCSDAY1の権利を獲得した構築です。

 

◎テラスタルへのアプローチ

①相手のタイプが常に変わる可能性がある。

→タイプ相性の依存度が低い削り手段の確保。

②相手の火力が常に上昇する可能性がある。

→十分な耐久、襷、速度のいずれかの要素を持つポケモンを採用し、行動保証のある構築にする。

以上2点を意識しました。

 

◎構築の骨格

 上記のアプローチを踏まえ、毒化粧+キラースピンによる毒撒きができる襷キラフロルと大体のポケモンの上から広範囲で殴れるSブーストハバカミから構築を組みました。この2体はずっと固定しており、残り4体をあれこれ試行錯誤しながら色々検討しました。

 3体目として、モロバレルがきついのは自明だったのでサーフゴーを採用しました。単に眠らないだけでなく、鋼耐性により悪巧みの積みをクリスモで無効化されない点と、高火力範囲技であるゴールドラッシュにより怒りの粉を無視できる点が強く、しかもそれらの要素を持ち物を消費せず組み込めるのが偉いと思います。

 4体目として、カミイーユイツツミらの高火力低耐久組と打ち合えるポケモンとしてチョッキカイリューを採用しました。火力こそ控えめなものの神速を合わせると多くのポケモンを縛りやすく、ハバカミと同様にスイーパーもこなすことができます。何よりチョッキマルスケの耐久がデタラメで、何を被弾しても耐えてくれる耐久力が非常に頼もしかったです。

 5体目として、対寿司、対イルカ、水・地耐性辺りを考慮してチオンジェンを採用しました。草タイプの選択肢が狭いパルデア地方の中では圧倒的に数値が高く、威嚇対策に引っかからない疑似的な威嚇枠になる点がとても偉いと思います。ただし、性質上宿木の命中率と追加効果の被弾に悩ませられるポケモンなので、常日頃から真摯にポケモンと向き合い徳を積むことで対策していました。

 6体目として、炎打点かつ対イッカサーフ、対イエアルマを意識して眼鏡イーユイを採用しました。キラフロル、ハバカミとの補完に優れ、低速相手をすべて破壊します。こちらも命中率に悩ませられるポケモンなのでよく技を当ててくれるイーユイを厳選しました。

 

◎個別解説

①キラフロル(水)@襷

実数値:159-67-110-182-101-151

努力値:4-0-0-252-0-252↑

技  :パワージェム/アシッドボム/キラースピン/ニードルガード

 

調整とテラス

・特になし。火力が欲しい場面よりミラーで先制できる方が嬉しいので最速。

・基本的にテラスは切らないので何でもいいのですが、強いて言えばこご風+αを何とかできそうな水と地面+αを何とかできそうな飛行を天秤にかけて水としました。メジャーなのは草ですが、襷前提で草テラスを切りたい場面が眠り粉と胞子対策程度で、そのようなケースでテラスを切ると大体負けるため採用は見送りました。

 

雑感

 構築の軸。毒の削りが非常に強い。命中100で相手を2体とも毒に出来るキラースピンは最強技だと思います。当初は大地の力を採用していましたが、キラフロル対策としてミストフィールドや神秘の守りを使用されると腐ってしまうため、別の展開ルートを作れるようにアシッドボムに変更しました。眼鏡イーユイと合わせるとほぼ全ての低速ポケモンを破壊できます。とりあえずこのポケモンを初手に置けるか考え、出せそうなら積極的に選出しました。

 

 

②ハバタクカミ(妖)@ブーストエナジー

実数値:161-54-94-171-156-172

努力値:244-0-124-124-4-12↑

技  :マジカルシャイン/シャドーボール/身代わり/守る

 

調整とテラス(全部書くとキリがないので一部抜粋、以下同じ)

・身代わりがタイプ一致イカサマ耐え

・陽気パオジアンの(悪)不意打ち耐え

・陽気パオジアンの不意打ちを身代わり後に耐え

・意地パオジアンの氷柱落とし耐え

・意地カイリューの(飛)テラバ耐え

・上記の耐久を確保し、Sブーストする範囲で火力最大

・悪耐性+火力を底上げできる妖テラス

 

雑感

 構築の軸。高速広範囲のスイーパー。HBにかなり振っているのである程度の行動保証があり強力です。Sについてはスカーフイーユイを抜けていれば問題ないと判断し最低限の値。シャドボは祟り目と選択ですが、常にキラフロルが毒を撒ける訳でもないのでシャドボとしています。身代わりは状態異常対策のみならず、終盤の毒ダメ稼ぎや対コノヨで生存を保証してくれる汎用性の高い技です。

 

 

③サーフゴー(水)@メタルコート

実数値:194-58-116-159-150-105

努力値:252-0-4-44-204↑-4

技  :ゴールドラッシュ/シャドーボール/悪巧み/守る

 

調整とテラス

・意地イルカの雫ウェブタ耐え

・ツツミのC187ハイドロを2耐え

・臆病ハバカミの眼鏡シャドボを13/16耐え

・控えめハバカミの活性シャドボ耐え

・悪巧みゴルラで無振りガブを確定(目安)

・耐性的な補完を考え、無難な水テラス

 

雑感

 汎用性の高いモロバレル対策ポケモンモロバレルに対して居座りたいのでCダウンをリカバリーできる悪巧み型。ハバカミ対面で動かしたい場面が多いためHDベースになっています。持ち物は当初残飯でしたが、チオンジェンにとられたことと、ディンルーオーロンゲが重かったので壁+災の上からアシボ込みでオーロンゲを破壊できるメタルコートとしました。シャドーボールは10万ボルトと選択ですが、重たいカイナに少しでも打点を持ちたいのと単純に威力を重視してシャドーボールとしています。

 

 

カイリュー(無)@突撃チョッキ

実数値:198-188-125-*-121-106

努力値:252-132↑-76-0-4-44

技  :神速/ドラゴンクロー/瓦割り/アイアンヘッド

 

調整とテラス

・陽気パオジアンのスピナーを15/16耐え

・4振りサーフゴー抜き

・上記の数値を確保し、火力最大

・テラス必須枠を作りたくなかったため、消去法で無テラス

 

雑感

 数値が高いポケモンで何を被弾しても大体耐えるので安心感がすごいポケモン。イエッサンがいないトリパに対しても強め。神速は確定として、タイプ一致技の中で威力と命中がまともなドラクロ、壁対策かつドドゲザンへの打点として瓦割り、ハバカミへの打点としてアイアンヘッドとしています。

 

 

⑤チオンジェン(水)@残飯

実数値:192-81-145-118-176-91

努力値:252-0-196-20-36↑-4

技  :草結び/イカサマ/宿木の種/守る

 

調整とテラス

・臆病ハバカミの眼鏡ムンフォを10/16耐え

・控えめハバカミの活性ムンフォを14/16耐え

・控えめイーユイの珠熱風耐え

・草結びで無振りイダイナキバを確定

・草結びでHDヘイラッシャを高乱数2発

・上記の数値を確保し、物理耐久最大

・居座り性能が一番高くなる水テラス。毒テラスも試しましたが、妖等の弱点を消すためにテラスを切った後、本来の役割対象である地面に役割を失うのが弱かったです。

 

雑感

 寿司対策、イルカ対策、疑似的な威嚇枠としてよく働いてくれました。本当は花粉団子やバークアウトも採用したいのですが、相手に負担をかけられないチオンジェンは宿木頼みになりがちで、交代で宿木を解消されてダメージレースに負けやすいため2ウェポンを採用しています。イカサマははたき落とす、もしくはカタストロフィとの選択ですが、コノヨザルへの打点や削り速度、命中率を加味してイカサマとしました。ハバカミ絡みの乱数をかなり甘えていますが、そもそもCに振り切っていないケース、ムンフォ以外を選択されるケース等々を考慮し、この程度振っておけば最悪ハバカミ対面で突っ張れる選択も取れると考えこの辺りの数値で妥協しています。

 

 

⑥イーユイ(草)@拘り眼鏡

実数値:161-76-113-156-155-140

努力値:244-0-100-4-4↑-156

技  :熱風/悪の波動/バークアウト/オーバーヒート

 

調整とテラス

・準速87族抜き(<最速キラフロル)

・陽気パオジアンの聖剣を14/16耐え

・陽気ガブリアスのダブルダメ地震を15/16耐え

・意地イルカ(ナイーブ)の(水)雫ジェッパを確定耐え

・臆病ツツミのハイドロを12/16耐え

・ダブルダメ熱風である程度Bに振っているモロバレルを確定

・アシボ+ダブルダメ熱風でHイルカ(ナイーブ)を確定

・アシボ+ダブルダメバクアである程度Bに振っているネズミを確定

・アシボ+悪波でHDヘイラッシャを確定

・アシボ+オバヒでHDディンルー以下の耐久力のポケモンは全て破壊

・地面と水耐性を取りたいケースが多いので草テラス

 

雑感

 イッカサーフ対策、イエアルマ対策の役割に加えて、構築の削り役として活躍してくれました。火力は無振りでも十分ですが、耐久と素早さに全く余裕が無いためかなり妥協した配分になっています。オバヒはテラバと選択ですが、感覚的にテラバで拘って対面のポケモンを処理できたとしても、裏から出てくるパオジアンやカイリューに縛られやすく、テラス自体を切るタイミングが難しいのでオバヒ採用としています。オバヒを採用するのであれば熱風は確定、悪の波動は安定した単体打点、バークアウトはサーフゴー絡みとミラーで打つタイミングがあります。

 

 

◎改善点

 襷キラフロルとSブーストハバカミからスタートし残りを補完する形で組んだ弊害として、パーティとしての役割分担と連携が不十分な点があげられます。具体的には、イーユイとサーフゴーの役割がやや被っている点とS操作を耐久に任せて凌ぐプランで組んでいるため被弾回数増加による追加効果を引きやすくなっている点です。この辺を改良できればより良い構築になったと思いますが詰め切ることができませんでした。

 

 

◎この形にいたるまでに検討したポケモン

ギャラドス(鋼)@ラム 滝登り/電磁波/挑発/守る

感電死が多発し、ケアしきれませんでした。それ以外は非常に優秀。

・ディンルー(毒)@チョッキ 地団駄/地割れ/ヘビボン/地獄突き

味方の打点を下げる点で扱いきれませんでした。地割れでバレルカイナを破壊し1回目の予選突破に貢献したポケモン

ハッサム(水)@チョッキ バレット/インファ/テラバ/とんぼ

数値が全く足りてない。

・サケブシッポ(超)@眼鏡 マジシャ/サイキネ/放射/トリック

机上論では強いはずが、別にそうでもなかったポケモン。たまに1ターンで勝負を決めてたので何より意表はつけます。

・セグレイブ(水)@ダイス 氷柱張り/氷の礫/巨剣/守る

キラフロル以外の展開として、チョッキ噴煙イーユイと組み合わせて使用。相手に一方的に理不尽を押し付ける性能は楽しかったですが、セグレイブのDダウンをケアできませんでした。セグレイブもチョッキを持てたら強かったと思います。

・トドロクツキ(妖)@オボン ワイブレ/地獄突き/テラバ/追い風

高速かつサーフゴーに強い妖テラスは対面性能が高い、とシングルの妖パオジアンを見て思ったので育成したポケモン。これはこれで可能性は感じましたが、ハバカミにテラスを強要されるのが気になりました。予選3回目の突破に貢献したポケモン

モロバレル(水)@ゴツメ 花粉団子/クリスモ/胞子/粉

選出できる気がしませんでした。

・ヘイラッシャ(色々)

対策をあれこれ考えすぎた結果、自分が使う側に回れませんでした。

・セキタンザン(地面)@弱保 岩雪崩/フレドラ/地震/守る

ネット本戦1回目で遭遇して苦戦したので、カイリューのアイヘをアクジェに変更し自分も使ってみました。選出択が広がったのと、キラフロルに強い高速組×2の組み合わせに対してセキタンザンが強いのが綺麗だと思います。セキタンザンに寄せ切るパーティ上のリソースが無かったので、指や粉(特に水テラスモロバレル)で止められたときに何もできないのと寿司に弱いのが気になり採用できませんでした。でも可能性は感じたポケモン

・セキタンザン(草)@球根 熱風/ジェム/テラバ/守る

上記の不満点を解消できないか考えていたところ、バルドルさんが天才的なセキタンザンを使っていたので真似しました。火力が更に落ちたことと引き換えに、怒りの粉で詰まなくなったことに加え、寿司と戦えるポケモンということで、要請を完全に満たしていたのでネット本戦2回目で使用。予選抜けに大きく貢献してくれました。しかしながら、イッカサーフ、グレンアルマ対策をしつつ汎用性のある並びを作ることができなかったので泣く泣く諦めました。結局イーユイを採用しましたが、セキタンザンは先述した反省点を見事にクリアしているポケモンなのでこちらを幕張に持ち込んでもよかったのかもしれません。

 

 

◎終わりに

自分の正しいと信じた軸を使ってある程度の成績を残すことができました。納得のいく構築を作るというラインまで詰められなかったのが心残りですが、一つの区切りとして構築を公開します。お読みいただきありがとうございました。