【第一回珍獣歌う杯】うたう1on1雑感
55%は意外と当たります。
◎概要
醤油さんが主宰するポケモン1on1大会【第一回珍獣歌う杯】に参加しました。
ルールは以下の通りです。
①「うたう」のみを覚えたポケモンで戦うシングル1on1
②剣盾環境で歌えるポケモンのみ使用可(XD技等は禁止)
③ダイマックス禁止
④対戦ごとに個体変更可
⑤時間切れによる判定勝ち(所謂TOD)禁止
⑥「うたう」のpp増加禁止(ヒメリはOK)
詳細なルールについてはこちらをご確認ください。
とりあえず頭がおかしいルールであることがわかれば大丈夫です。
◎環境考察(1):持ち物編
歌うだけでは相手を倒せないため、以下のいずれかの方針を取る必要があります。
①自分がわるあがきで倒す
②相手がわるあがきの反動ダメージで倒れるのを待つ
③わるあがき以外のダメージで倒す(ゴツメなど)
これらの方針に基づき持ち物を考察すると、①の場合は鉢巻とチョッキ、②の場合はヒメリ、③の場合はゴツメが候補になります。命の珠や残飯、混乱実などは、倍率や行動回数の制約上これらに劣ります。
◎環境考察(2):ポケモン編
持ち物の検討がついたので次に使うポケモンを考えます。候補は以下の通りです。
①鉢巻チラチーノ
②ヒメリラプラス
③ゴツメピクシー
④チョッキチラチーノ
①鉢巻について
鉢巻の場合、②のHBラプラスを唯一5発(99%)で倒せるチラチーノが最有力になります。
それ以外の候補としては、マリルリも候補に挙がりますが、こちらはラプラスに勝てるかが怪しい乱数(59%)になります。チラチーノは耐久が低いので、ラプラスへの乱数を妥協できる理由があればこちらも採用候補になるでしょう。
②ヒメリについて
ヒメリの場合、最も耐久が高く、急所に被弾しないラプラスが有力です。
とはいえ鉢巻ほど積極的な理由ではないため、最も遅いヒメンカやゴツメの影響を受けないピクシーも採用候補に挙がります。ただしあまりにも耐久が低いポケモンを採用すると④のチョッキチラチーノと遭遇した場合に事故るので、チラチーノのわるあがきを5耐えできたほうが安心かもしれません。
③ゴツメについて
ゴツメの場合、相手のゴツメの影響を受けないピクシーが有力です。
こちらも鉢巻ほど積極的な理由ではないため、急所に被弾しないラプラスやゴツメ2回+反動2回+わるあがきでチラチーノを倒しきれるマリルリも候補です。ゴツメを使うのであれば、最低限鉢巻チラチーノのわるあがきを3耐えした上で+αとして何を求めるかがトレーナーに問われることになります。
④チョッキについて
チョッキの場合、最大火力であるチラチーノ一択になります。
わるあがき5発で倒しきれない場合、反動で倒れますので火力以外に求める要素はありません。
◎環境考察(3):3すくみ編
(2)で考察した各持ち物には、下図のような関係性があります。
・鉢巻→ヒメリ :PPのゆらぎの影響をほぼ受けないので非常に有利
・ヒメリ→ゴツメ:PPのゆらぎの影響をほぼ受けないので非常に有利
・ゴツメ→鉢巻 :基本的に有利だが、PP消費の進行次第で負ける
・チョッキ→鉢巻:何があろうと絶対に有利
・チョッキ→他 :鉢巻以外には何があろうと非常に不利
すなわち、
「基本的には3すくみの関係であるが、鉢巻のみ運次第で3すくみを崩せる、ただし鉢巻はチョッキに何があろうと勝てない。」
という、うたう1on1の基本構造が見えてきます。
◎使用構築
以上の考察を踏まえ、以下の2匹を採用しました。
①鉢巻チラチーノ
・実数値:153-161-107-76-81-138
・努力値:20-252↑-212-0↓-4-20
・配分
鉢巻チラチーノのわるあがきを2耐え
HP:4n+1、A最大
ミラー意識で残りS
・雑感
前述の通り、運さえあれば3すくみの範疇である限りどの相手にも勝てる可能性があるためメインアタッカーとして採用。恐らくミラーにおいては先に動いたほうが有利であるため、最遅ではなく若干Sに振っています。
②ヒメリラプラス
・実数値:237-106-145-105-115-58
※実際に使用した個体はS62
・努力値:252-4-252↑-0-0-0↓
・配分
鉢巻マリルリへの勝率を可能な限り上げるためHB
鉢巻チラチーノへの勝率が0%から1%に上がる
HP:4n+1
残りA
・雑感
こちらは特に捻りの無いHBラプラス。型バレを考えた場合のサブとしては、メタ対象の鉢巻に負ける可能性のあるゴツメよりはヒメリが良いと考えました。
・Q:どうして最遅じゃないんですか?
A:野生の証持ちポケモンを使いたかったが、証+最遅を厳選する気力と時間がありませんでした。
◎その他の対戦以外の要素について
①相手の対戦ポケモンの推定
今回のルールでは対戦ごとに個体変更が可能です。すなわち、チョッキを合わせられた瞬間負けが確定する鉢巻型をメインに据える以上、極力型バレしないようにする、少なくとも100%鉢巻であるという情報を与えないようにする必要があります(100%でなければゴツメを出してくるはずなので運次第のゲームに持っていけます)。
また、対戦相手の方が、「一つの型で戦う」、「(チラーミィを除く)特定のポケモンの厳選をしている」というような型を絞る考察がされている場合はチョッキである可能性がかなり下がるため、鉢巻を選出しやすくなります。
②運
どれだけ考察したところで結局運です。負けてもくよくよしないことが大切です。
◎実践編(1):予選リーグ
4人のリーグ×2の計8人が参加しました。
○予選リーグ1戦目:Toshiさん
・自分:鉢巻チラチーノ
・相手:ヒメリヒメンカ
Toshiさんは自分の前に1試合しており、試合時間からチョッキではなさそうだったので予定通りチラチーノを選出。相手はヒメリヒメンカでチラチーノの攻撃で倒しきることができました。
ただ、この時点で「4n+1~3であればわるあがきを5回打てる」という致命的な勘違いをしており(正しくは4n+1の場合のみ5回打てる)、HP150のチラチーノを使っていたため相手がラプラス等の耐久が高いポケモンであれば負けていました。もっと仕様をよく調べておくか、事前に1回はテストしておくべきでした。反省。
×予選リーグ2戦目:キギさん
・自分:ヒメリラプラス
・相手:ヒメリラプラス
Toshiさんからの連戦。前述の勘違いによりチラチーノを使えなくなってしまったのでラプラスを選出。完全なミラー。
こちらが最遅でないため常に先行しつつ、お互いに眠り眠らせあう紆余曲折を経て、相手のほうが1ターン早くわるあがきをし始めたので価値を確信した後、こちらの最後のわるあがきをミリ耐えされて相手のわるあがきで同時に倒れて負ける熱い試合でした。BVを取りたかった。
ダメージ計算をしてみると、A106ラプラスのわるあがき3回(15~18×3→45~54)がH252ラプラスのわるあがきの反動1回(237/4→59)に届かないため、HBラプラスミラーにおいては交互に攻撃する前提なら先行勝利になることがわかりました。
最遅にしていればまた違った展開でしたが、結局確率的には最遅でなくてよかったのかもしれません。うたう1on1の確率計算は面倒すぎて諦めました。
○予選リーグ3戦目:クロサナさん
・自分:ヒメリラプラス
・相手:ヒメリラプラス
2戦目から時間は経ちましたが、まだチラチーノの努力値を修正していなかったため再びラプラスを選出。相手もラプラス。再びのミラー。
やはりこちらが最遅でないため常に先行。非常に運が偏ったため相手の1回目のわるあがき時点でppを8残して勝ちました。流石に申し訳なくなりました。
試合進行を下表のとおりまとめましたのでご覧ください。
おねむなラプラスがつよかったです。
以上、予選リーグ2-1で2位。決勝リーグへ進出しました。
◎実践編(2):決勝リーグ
〇決勝リーグ1戦目:キギさん
・自分:鉢巻チラチーノ
・相手:鉢巻チラチーノ
1戦目は予選リーグで戦ったキギさんとの再戦。1戦目で勝っているラプラスを続投するか、ラプラスに強い鉢巻を出してくるかなと予想はしてみますが、考えてみたところで結論は出ないため予定通り鉢巻チラチーノ(努力値修正済み)を投入。少なくともチョッキでなければ運次第でなんとかなります。
キギさんの選出も鉢巻チラチーノ。またしてもミラー。S振りが生き、こちらが常に先行しつつ序盤ppを多く消費できましたが、中盤に追いつかれ、終盤に相手のわるあがきを1度打たせた後、最長眠りを引けたおかげでこちらのpp消費が間に合い、相手をわるあがきで倒すことができました。こちらも非常に熱い試合でした。
やっていることはAボタンを連打しているだけですが。
×決勝リーグ2戦目:ガラナさん
・自分:鉢巻チラチーノ
・相手:ゴツメマリルリ
最早相手の型を推測する手段が何も無いため、チョッキでないことを祈りつつ鉢巻チラチーノを選出。
ガラナさんの選出はマリルリ。やや不利ながらも早めにppを消費できれば十分に勝ち目はあると思っていましたが、持ち物がまさかのゴツメで急所も引けず反動で敗れました。3すくみの関係通りの結果なので仕方ありません。
〇決勝リーグ3戦目:テツポンドさん
・自分:鉢巻チラチーノ
・相手:ゴツメピクシー
前の試合と同じく、チョッキでないことを祈りつつ鉢巻チラチーノを選出。
テツポンドさんの選出はピクシーで、持ち物が恐らくゴツメなので不利な相手。しかし、相手のほうが多くppを消費する展開で歌合戦が進み、相手がわるあがきを4回打った後にこちらのチラチーノが1回目のわるあがきで倒しました。
「基本的には3すくみの関係であるが、鉢巻のみ運次第で3すくみを崩せる」という事前考察通りに不利を捲れて良かったと思います。
以上、決勝リーグ2-1で2位。準優勝でした。
優勝は3-0でガラナさん。おめでとうございます。
◎まとめ
うたうしか使えないポケモンの1on1というクレイジーなルールですが、3すくみの基本概念があった上で相手が何を使ってくるかをあの手この手で考える、意外と奥の深いルールでした。
私は3すくみの歪みである鉢巻が最も確率的に有利であると考えメインで採用しました。しかしながら、ガラナさん及びテツポンドさんが鉢巻増によるヒメリ減まで見越してゴツメを採用したとすれば、鉢巻がゴツメを破りつつも優勝したのはゴツメであった結果はメタゲームとして非常に綺麗な結末だったと思います。
改めて、優勝されたガラナさん、おめでとうございます!
参加された皆様、並びに主催者の皆様ありがとうございました。